【地域連携活動】富田C.C&梁C.Dも参加!親子でサッカーを楽しみながら防災意識を学ぶ「アイリスオーヤマ presents ベガルタ防災サッカー教室 in 利府町」が開催されました!
レポート
2024.07.02
2024年6月30日(日)、利府町立青山小学校にて「アイリスオーヤマ presents ベガルタ防災サッカー教室」が開催されました。このイベントは、サッカーの技術を学びながら、防災意識を高めていこうと、東日本大震災から10年にあたる2021年から始まったもので、この日は今年は第一回として利府町のご協力のもとに実施されました。ベガルタ仙台からは、富田晋伍C.Cと梁勇基C.D、ベガルタ仙台サッカースクールの“ナベコーチ”こと渡辺スクールマスターと、“ケブコーチ”こと癸生川スクールコーチ、“モジャモジャコーチ”こと加藤スクールコーチが参加です!
今回参加したのは、主に利府町内の小学生と保護者のおよそ100名。事前に利府町内の小学校に今回の参加募集を告知したところ、すぐに定員に!さらにイベント当日も1〜2割は不参加になることが多いとされるなか、ほぼ100%の参加率でした。利府町内唯一の少年サッカーチームである「青山FC」の子どもたちも参加していて、イベント開始は10時半にもかかわらず、1時間近く前からグラウンドでサッカーを楽しむ姿も。みんなこの日を楽しみにしていたようです。この日は朝から薄曇り、サッカーをするには無理のない天候で、参加者にもコーチたちにも幸いでした。特に、後ほど子どもたちと本気サッカーをすることとなる富田C.Cにとっては……。
10時半からの開会式には利府町の熊谷 大(くまがい ゆたか)町長も参列くださり、「サッカーと防災に共通する、“慌てず、落ち着いて判断する、行動する”ということの大切さを学び、日ごろからの防災意識を高めてください」とのお言葉。続いて、梁C.Dからは「サッカーを楽しみながら、防災意識をさらに持てる機会にしましょう」、富田C.Cからは「防災の意識も頭に入れながら、みんなでサッカーを楽しみましょう」とのコメントがありました。ケブコーチとモジャモジャコーチの紹介もあり、なんとモジャモジャコーチはこの日にあわせて髪をモジャモジャしてきたのだとか!?参加者もコーチ陣もやる気充分です!
開会式終了後は、富田C.C、梁C.Dを中心に、親子や友だち同士2人組になってのストレッチでウォーミングアップ。その後、2人組が手をつないで鬼ごっこ(こおりおに)をするのですが、ナベコーチから「走らないこと、相手とぶつからないことを守ってください!」との注意点が。そのため、鬼が早歩きで周囲を追いかけるもののなかなか距離が縮まらず、逃げる側も手をつないだままで自由が取れず、みんなが苦戦します。
そう、これが今回の防災サッカーの最初の目的。災害が起きた際に親子で避難場所へ逃げる場面を想定されています。開会式で熊谷町長からのあいさつにもあったように、災害時は慌てずに落ち着いて行動することが大事。そのための“走らずに早歩き”で行動する必要性と、さらに手をつないで一緒に逃げるときには想像以上に相手との呼吸が大事になるということを学んでいきます。
参加者もなかなか苦戦。走って追いかける普段の鬼ごっこと違うため、ついつい走って逃げてしまう子どもたちもちらほら。それでも逃げるもの同士声をかけあうことで、冷静になって早歩きをしていました。
とはいえ、今回参加した小学生は最高学年でも12歳。東日本大震災そのものを体験していません。そこで、当時を知る梁C.Dと富田C.Cが発災後の行動を教えてくれました。
梁C.D「その瞬間は何が起こったかわからなくて、慌てずに落ち着いて行動することの大切さはわかっていても、いざとなるとそんなことは忘れていました。」
富田C.C「Jリーグの試合前日で、自宅に居たときに地震が起きました。揺れが収まった後に急いで外に出たのですが、何も持たずに出てしまったので、自宅に戻ってしまいました。今となっては『戻ってはいけない』と理解できますが、当時はひとりでどうしたらよいかわからなくなっていました。」
想像を超える大きな揺れが長く続くと、大人でも冷静さを欠いてしまうのも仕方ありません。
そこで、コーチたちが子どもたちに示したのが「お・は・し・も」と大きく書かれた紙。子どもたちは「知ってるー!」と答えたものの、参加した大人は、「聞いたことがない」という様子。もちろん筆者は初耳の言葉です。
「お」…おさない
「は」…はしらない
「し」…しゃべらない
「も」…もどらない
防災標語として避難訓練などで用いられる用語です。昭和世代の筆者が小学校のときは「おさない、かけない、はしらない」の「お・か・し」で習っていたことを思い出しました。現在は「も」が加わっていて、忘れ物を取りに戻ったために、火災や津波に巻き込まれたというような悲劇を起こさないために必要な言葉ですね。
震災当時の話や、防災のおさらいのあとは、いよいよボールをつかったゲームがスタート。最初は2人で手をつなぎながら、それぞれがドリブルをしながら歩くというもの。梁C.Dと富田C.Cのお手本を見ると簡単にできるようですが、お互いが歩くペースを保ちながらドリブルをして歩くというのは意外と難しいようです。ここでの防災サッカーとしての目的は「ボールを見ながらも、周りを見て、スペースを探す」というもの。“スペース”とは、ボールが周囲にぶつからないよう“安全確認をする”ということにつながっています。
子どもたちからも「手をつなぎながらドリブルをすると、集中できなくてうまくボールを蹴られなかった」、「ドリブルに集中しすぎて、手が離れ離れになった」との声があり、避難行動を共にする際にも注意したいことがサッカーを通した学びとなっていました。
ここまで防災を学びながらのサッカー教室でしたが、最後はいよいよ待ちに待ったミニゲーム。低学年、中学年、高学年ごとにチームを作り、子どもたちvs大人の対戦なのですが、なんと富田C.Cの対戦は、高学年の子どもたち7人vs大人2人!小学生とはいえ、高学年ともなれば体格がよいうえに、サッカーがうまい子が多く、大人2人は翻弄されっぱなし。富田C.Cも負けじと股抜きを見せるなど奮闘しましたが、最後には汗だくでバテバテで言葉も出ず…。それでも子どもたちは富田C.Cとの本気のミニゲームを楽しんでいました。一方、梁C.Dも、走らずに手をつなぎながらドリブルをするなどの、普段のサッカー指導とは異なるスタイルのなか、ボールの蹴る位置を手取り足取りアドバイスするなど、初参加の防災サッカーに汗を流していましたよ。
最後は、松下選手と郷家選手のサイン入りTシャツをかけて、子どもたちが梁C.Dとじゃんけん大会!みんなで記念撮影をして今回の「アイリスオーヤマ presents ベガルタ防災サッカー教室」は終了しました……が、子どもたちが梁C.Dと富田C.Cのサインや記念撮影を求めて長蛇の列!参加特典のTシャツにサインをもらい、保護者の方々にうれしそうに見せながら、それぞれ帰路についていました。
3年生の男の子は、「普段サッカーはしないけど、今日はおもしろかった」、同伴のお父さんも「休日に親子一緒にスポーツを楽しむ機会をなかなか取れないので、いい時間になりました」と満足そうな笑顔が印象的。
兄妹で参加した1年生の女の子と4年生の男の子は、男の子のほうは「パパと一緒にサッカーできて楽しかった」と話してくれたものの、女の子は「こおりおにで、みんな足が速いし大きいから、追いつけなかった」とちょっとくやしそう。見学していたお母さんは「防災とサッカーをどう組みあわせるのか、どんな教室になるのか想像できなかったですが、子どもたちの楽しそうな様子をみて、参加してよかったです」と話してくれました。
参加した保護者の方々の多くが「防災×サッカーの教室って、どんなものかと思ったけど、勉強になったし、楽しめた」ということをお話ししていました。このイベントでの進行役もつとめたナベコーチは、「防災サッカーを通じて、子どもたちにとっては『お・は・し・も』の復習となり、保護者にとっては親子での避難行動の再確認となればよいと思います。小学生は東日本大震災を知らないので、梁C.Dと富田C.Cにはこれからも当時を伝える役割を果たしてもらいたい」と話していました。
富田C.Cは「走らないで手をつないだまま鬼ごっこをするなど、子どもたちは普段と違う経験だったと思いますが、今日の経験をいつか災害が起きたときに生かしてもらえたらいいなと思います」
梁C.D「初めての防災サッカーだったので、『どんなサッカー教室なのかな』と思ってました。子どもたちのほうが自分よりも防災に詳しく、『なるほどな』という場面も多く、C.Dの立場としても今後に生かせるいい機会になりました」と話してくれました。
この日の様子や富田C.C、梁C.Dのコメントは、ソシオマガジンのYouTubeでも見ることができますので、あわせてお楽しみください!
(by 内田明子)