【ユース】2年連続プレミアリーグプレーオフ出場決定!トップ昇格内定キャプテン横山颯大がトップの基準をユースへ還元
レポート
2024.09.24
木谷公亮前監督のサガン鳥栖テクニカルダイレクター就任(その後トップチーム監督就任)に伴い、ヘッドコーチから昇格の安川洋介新監督が8月1日就任。新たなスタートを切ったベガルタ仙台ユースは8月31日から再開した「高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2024東北」に臨んだ。
今シーズンの東北地域のプレミアリーグプレーオフ出場枠は2だが、再開初戦第12節は共にプレーオフ出場圏内の強豪聖和学園高との対戦。安川新監督初陣ということでも注目された一戦は、夏の「第48回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会」で3試合先発出場しながらノーゴールと悔しい思いをしたFWピドゥ大樹(2年)がハットトリックを達成するなど、大量得点を奪い6-0と圧勝。幸先良いリスタートとなった。
続く9月8日の第13節モンテディオ山形ユース戦は、前半相手の攻勢に苦しみながらもセットプレーからDF似内久穏(2年)のヘディングシュートで先制。後半は優位に試合を進めたが、セットプレーから失点し、1-1の引き分けに終わった。9月14日第14節聖光学院高戦は、MF浅尾涼太朗(2年)のゴールで先制し、後半負傷から復帰のFW古屋歩夢(2年)が2ゴールの活躍を見せ3-0で勝利し、プレーオフ出場決定に王手をかけた。
そして9月21日第15節専修大北上高戦。先制ゴールは9月3日にトップチーム昇格内定が発表されたMF横山颯大(3年)だった。これまで大きな存在感を見せてきたが、意外にもプリンスリーグ東北では今シーズン初ゴールだった。その後、後半同点に追いつかれたが試合終盤古屋の追加点が決まり2-1で勝利。プレーオフに出場できない青森山田高セカンド、尚志高セカンドを除き上位2チームに入ることが決まり、12月6~8日広島県内で行われる「高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2024プレーオフ」に2年連続出場を果たすことが決定した。
安川監督は、3試合で1得点7失点に終わった夏の全国大会での反省を踏まえ「クラブユースでは簡単に失点していたので、その後の練習ではゴール前での攻防によりフォーカスしました」と、ゴールを守る、ゴールを奪うというゴール前での攻守の部分に注力して指導を行ったという。プリンスリーグ東北再開後は4試合で12得点2失点と効果は着実に表れている。
「プリンスリーグ東北優勝、プレミアリーグ参入を目標に今シーズンスタートしましたが、そんなに甘くはないと選手たちには伝えています」と2014年から途中1年間のジュニアユースコーチ時代を挟み、約10年にわたりコーチとしてユースを指導し続け、過去何度もプレミアリーグ参入を阻まれ続けた歴史を見てきた安川監督はそう簡単に達成できる目標ではないことを熟知している。プレミアリーグプレーオフは全国の強豪相手に2試合連勝しなければプレミアリーグ参入できない、非常に厳しいレギュレーションであり、1試合は勝ててもあと1試合が勝てず、過去6回大きな壁にはね返されてきた。
そんな中この厳しい目標達成に向けて、まず安川監督は「今年はプレミアリーグ参入が目標ですが、プリンスリーグ東北優勝も目標です。自分たちが勝ち続ければ目標は達成できるので、自分たち次第だと言い続けています」と優勝でのプレーオフ出場を達成しようとしている。これまでは青森山田高セカンドなどに上回られ、優勝ではなく2位や3位でプレーオフに出場したことが多かったが、まずは東北のチャンピオンになる目標を達成して、プレーオフへ臨もうとしている。
そうした中、「日常が全て。日常を変えて100%でトレーニングできるかにフォーカスしてやっています」と日々のトレーニングを全力でこなし、そのトレーニングでのプレー基準を上げていくことに取り組んでいる。
そんな中、より大きな存在感を見せているのはキャプテンの横山だ。夏のクラブユース選手権後は「自分たちがまずどれだけ基準を上げてやれるかどうかです。もっと基準を上げて全員でチームとしても個人としても高めていかなければ」と3連敗に終わったことで、基準を上げたいと語っていた。また、木谷前監督からは「ここから半年キャプテンとしてチームをまとめるところに期待しています。リーダーがいないとチームは強くなりません。キャプテンだからじゃなくて他の選手もやらなければいけませんが、強いチームにはそうしたリーダーが必ずいるので、そうなってくれることを期待しています」ともっとチームを引っ張る存在になってほしいという言葉があった。
こうして迎えたプリンスリーグでは第14節聖光学院高戦で、浅尾の先制ゴールの際、ペナルティエリア内に進入し、自らがおとりになるランニングをして、浅尾にフリーでシュートを打たせることに成功した。「自分が走ることによって涼太朗のマークをしていた選手がこちらも気にするようになって、涼太朗のゴールがあったと思います。ああいうフリーランニングだったり、自分がおとりとなるようなランニング、2列目から走って行くことはもっとできると思っています」と狙い通り質の高い動きを見せた。そして第15節専修大北上高戦では今シーズン初ゴール。ゴールに絡もうとする意識が向上している。
横山はプロの練習に参加しながらユースの試合に出場していることもあり、プロの基準をユースに還元しようとしているが、トップの選手だったら通るであろう強くて速いパスが、身体能力でプロと差があるユースの選手に通らないこともあった。
安川監督は「クラブユースでチームとしてできるところはありましたが、個人のところが足りないのが課題だと、前監督の木谷と話をさせてもらいました。夏以降はチームでやるべきことに加え、より個人にフォーカスしています。颯大がトップの基準をこっちで示してくれるので、それにどれだけついていける選手が増えてくるかが、チーム力がどれだけ上がるかにつながります」と周りの個の力を上げようとしている。
横山自身は「どちらかと言うと、自分が(ユース選手に)合わせる方が課題だと思っています。矢印を自分に向けてその選手に合わせたパスができないといけません。誰とやっても誰と組んでも状況と味方に合わせて出すパスを変えていかないといけなくて、味方がどうこうと言うより、自分が精度と質を上げていかないといけないと思います」と自らにベクトルを向け、自らのプレーを高めていこうとしている。
周りが合わせることと、横山自身が合わせることの両方が必要ということで、安川監督は「チーム全員でやることがうちのチームの良いところなので、個人にフォーカスしながらもチーム一丸を忘れず両方を上げていく作業をしている段階です」と語り、個のプレー基準を上げつつチーム全体で助け合いながら団結力を持って戦う集団とし、年末のプレーオフで強度や技術の高い相手と互角以上に戦うことを目指している。
「自分たちの目指しているプレミアリーグ昇格はそんなに簡単じゃないので、その景色を昨年も見ていますし、そのレベルに至るまでは練習の中からもっと基準を上げてやらないといけないと思います」とさらに基準を上げようと意気込む横山。個とチーム、両方をレベルアップし、プリンスリーグ東北残り3試合全勝での優勝、そしてその先のプレミアリーグ参入を目指す。
(by 小林健志)