【マイナビベガルタ仙台レディース】2020シーズン開幕直前コラム「サッカーができるという『特別な日常』」

 「行こう!行こう!」マイナビベガルタ仙台泉パークタウン練習場には活気のある声が響き、選手たちが真剣勝負で体をぶつけ合っていた。待ちに待ったなでしこリーグの開幕戦へ、選手たちの士気は十分に高まっていた。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、4月から約2ヶ月間、チームは練習を自粛することとなった。仲間とボールを蹴り合うことができず、体を思うように動かせない日々も続いた。

 今シーズン、INAC神戸レオネッサから加入したMF福田ゆい選手は「練習再開の目途が立ってなかったので、メンタル・気持ちの持っていき方が難しい部分もあった。走力の維持のため毎日ランニングや、ボールを蹴る・止めるというベースのところを公園でおこなっていた」と自粛期間を振り返った。気持ちを切らさないよう、選手たちはそれぞれにできることを探していた。

 段階的に自主トレーニング、グループトレーニングを行い、緊急事態宣言解除を受けて、全体での練習が再開したのは6月2日。そこから6週間かけて開幕へ向けてコンディションを整え、チームの連携を深めてきた。

 待望の開幕を前にFW池尻茉由選手も期待に目を輝かせる。「すごく楽しみですし、やってやろうという気持ち。4ヶ月待ったので試合がしたいし、チームメートと一緒に試合ができるという喜びもある」。なでしこリーグ1部へは初挑戦となる池尻選手。「最低5得点は取りたい。一試合ごとに成長していければいい」と意気込みを語った。

 サッカーができない日々は、彼女たちにサッカーの喜びをより深く思い起こさせた。MF隅田凜選手は「(自粛期間は)もどかしかったし、本当にサッカーがしたいと思っていた。そういう気持ちを試合で表現したい」と開幕戦のプレーに強い想いを込める。

 第1,2節はリモートマッチ(無観客試合)でのスタートで、サポーターと会えるのは第3節からとなる。

「ベガルタサポーターの応援は鳥肌が立つほどすごくて、いつも圧倒されている。その応援がないのは寂しいけれど、画面越しでも私たちの気持ちの部分を見て欲しい」(隅田選手)

「勝ちにこだわることが1番。自分たちの良さを出して、相手の良さを消す。これが勝利につながる一番のポイント」(福田選手)

「(画面越しでも)試合を通して楽しんでもらいたい。こういう時期だからこそ、応援してくれる方々に結果で返していきたい」(池尻茉由選手)

 ボールを蹴る先にチームメートがいること。倒れた時に手を差し伸べ、助け起こしてくれる味方がいること。苦しい時間にサポーターの歌声が聞こえること。ゴールを決めた瞬間に強く抱き合う仲間がいること。私たちが身を置いてきたサッカーのある日々は「特別な日常」だったと気づかされた。すべてを取り戻すにはまだ時間がかかりそうだ。それでも、彼女たちは強い気持ちで前へ向く。支えてくれる人たちに勝利とサッカーの喜びを届けるために。

【次の試合日程】
2020プレナスなでしこリーグ1部
第1節 マイナビベガルタ仙台レディース 対 アルビレックス新潟レディース
7月19日(日) 17時キックオフ(松島フットボールセンター PITCH1)

※リモートマッチ(無観客試合)のため、会場での観戦はできません。
YouTube「なでしこリーグチャンネル」にてインターネット配信が行われます。