【トップチームインタビュー】FW 47 荒木駿太選手「運動量を出すため、練習でもやれるところまで全力でやりきる」

運動量が自分のストロングポイント

——沖縄県糸満市での第1次キャンプではハードな体力強化が続きました。
 自分のプレースタイル的にも、運動量がストロングポイントではあるので……こういう練習のときから出さないと試合でも出せないと思っているので、いろいろ考えながら、やれるところまでは全力でやり切ろうと思っているところです。今まで経験したことのないきつい練習ですが、今のところはしっかりやれているかなと思います。

——町田時代にもよく走る選手として存在感を発揮していました。
 まず、守備のことに関しては、町田の黒田(剛)監督からよく、「しっかり守備をやらないと試合に出られない」と強く言われていました。試合に出たい気持ちとともに守備でがんばるようにしていたところを監督が見てくれて、起用してくれたと思っています。守備も攻撃もさぼらない選手が重宝されていたと思うのですが、そこに関しては自分の得意なところです。だから、結構試合で使ってもらえた印象はあります。

——新天地でのチームメートとのコミュニケーションも進んでいますか。
 宮崎鴻とは(駒澤)大学の時からプレースタイルをよく分かっています。ミニゲームで宮崎と久しぶりに2トップを組んだら、「やっぱりやりやすいな」という印象になって、「分かってくれているな」とすごく感じました。これからいろいろほかのFWとも組むこともありますが、自分は組む相手の動きによって動きを変えるようにしています。その人の特徴をつかみながら動くことを自分自身心がけているので、このキャンプの中で、一人一人の特徴をつかんでいければいいなと思っています。
 具体的には、ヘディングが強い選手なら、競り勝ってボールを落とそうとするところに信じて走るし、おさめるのが得意ならダイレクトとかツータッチではたけるところにいくことで、その人が生きてくるのではないかと考えながらプレーしますね。考えるのはそんなに得意ではないし、感覚の部分もありますが、できるだけ考えながらプレーしていければ、と思います。

町田でJ1に昇格したときはベテランの人たちから学んだ

——長いキャンプの中で、チームには溶けこめていますか。
 まだですね。僕は人見知りなので、(松井)蓮之とか相良(竜之介)とかミヤコー(宮崎)とか前から知っていた選手の前では素は出せますけど……あとはマサ君(奥山政幸)もそうです。でも、ほかのメンバーの前ではまだ自分を出せていないと思うので、これから、という感じです。

——1月8日の新加入選手会見での自己アピールなど、コミュニケーション能力は高そうに見えますが……
 いえ、初対面だとなかなか話せないんですよ。インタビューを受けるのは、1年目はめちゃくちゃ緊張していましたけど、今はだいぶ慣れたかもしれません。

——森山佳郎監督はコミュニケーションを重視しています。監督の印象はいかがですか。
 熱いですね。サッカー中はやっぱ熱くて、言っていることも分かりやすくて、自分としてはすごくやりやすい印象です。また、私生活のところでもすごいフランクに話かけてくれます。今までは厳しめの監督に指導を受けたことが多かったのですが、ここまでピッチ外の部分でも話してくれてこんなに笑ってくれて……というのはなかったので、新鮮な感じです。なんかちょっと、「普通に話しかけて大丈夫なのかな」という、怖さも最初はあったんですよ。でもずっとあのような感じなので、ちょっとずつ、監督にも私生活でもいろいろ話していけたらいいなと思っています。

——荒木選手は町田時代の2023シーズンにJ1昇格の経験があります。大きな目標を達成するチームには、どういう強みがあったと思いますか。
 町田のときは、ベテランの力が大きかったと思っています。当時は太田宏介さんとか、中島裕希さん、深津康太君、そして奥山マサ君がいました。ベテランの人たちが下の年代の選手を動かして、上からすごく引っ張ってくれたと思っています。J2で優勝したときにはその力の大きさを感じました。その人たちがいたおかげで自分たちもまとまれました。きつい時にも、その人たちが声を出してがんばってくれたので、「ベテランがやっているから俺たちもやらないと」というのはありました。J1に上がってからの昨シーズンもA代表を経験した選手が入ってきて、彼らを見てまた「先輩たちはすごいな」と感じました。自分は、今彼らが目の前にいなくても、自分からチームを引っ張るなどできるような選手になっていきたいと思います。

シーズン二桁ゴールを目指したい

——普段はどういう趣味がありますか。
 コーヒーやカフェが好きで、カフェ巡りをしてゆっくりしています。一人でも、誰かとでも行きます。以前はブラックコーヒーは苦くて飲めなかったのですが、今はチョコレート食べながらブラックを飲むのが好きです。鳥栖時代の仲間に菊地泰智選手(現名古屋)がいて、彼に「チョコレートを食べながらブラックコーヒーを飲むとおいしいよ」と言われて、「本当かよ」と思いながらそうやって飲んでいたら、おいしくて、そこからだんだんハマりだして、今はチョコレート無しで飲めるようになりました。音楽を聴いたり、なんとなく「どうやってコーヒーを淹れているのかな」と思って店員さんのお仕事を見てみたりして、ゆっくりしています。

——新加入会見の場では、今シーズンの目標として二桁ゴールを挙げていました。
 昨シーズンの仙台では中島元彦選手(現C大阪)がゴールを二桁取っていて、そのエース的な存在がいなくなったところで、今シーズンはその役割を誰が果たすか注目されていると思います。そういう存在に自分もなれるし、みんなもなれる可能性はあります。そのなかで、「中島選手の代わりになってほしい選手」と、オファーをいただいたときに強く言われました。だから二桁ゴールを目指してやっていきたいですね。また、自分のストロングは運動量だと思っているので、90分出たときは効果的な走りで(走行距離は)13km以上いけるようになりたいという目標もあります。一番は、二桁ゴールを取りたいですね。

取材日:2025年1月13日

(by 板垣晴朗)