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障がい者と健常者の相互理解を目指して!インクルーシブスポーツキャラバン2022 in富谷に参加しました!

2022.08.31

8月最後の日曜日となる8月28日、富谷市スポーツセンターにて「インクルーシブスポーツキャラバン2022 in富谷」が開催され、ベガルタ仙台も参加しました。

昨年から始まったこのイベントは、知的障がい児保護者による支援団体「障がい者サポーターズGolazo!」、尚絅学院大学学校教育学類、知的障がい者サッカーチーム「Sendai Forza」、(一社)宮城県障害者スポーツ協会、富谷市とベガルタ仙台の共催によるもので、今年は今回で4回目の開催。県内各地から合計85名の親子が参加しました。

イベント開会にあたり、若生富谷市長から「昨年はこの富谷市スポーツセンターが集団接種会場となったこともあり、2年がかりで開催にこぎつけて本当にうれしい。障がい者と健常者ともにスポーツを楽しみながらお互いを知る機会になることを願います」とのお言葉をいただきました。

「障がい者サポーターズGolazo!」代表の相澤さんからは、「『うちの子はできなくて…』などと親御さんが恐縮せずに、お子さんたちが今できることだけをやらせてください。密にならないようにたくさん走り回りましょう」と参加者へ向けてメッセージをいただきました。

相澤さんにイベントが始まった経緯を伺ったところ、障がいのあるお子さんを持つ親御さんにとって、イベントへの参加は「どうせうちの子はできないから」「足を引っ張ったら悪い」などと引け目を感じてしまうことが多いそうで、そういう気持ちを払拭し、親御さん同士の横のつながりを宮城県内全域を通じて作っていこうということ、また、障がい者と健常者の相互理解を図ろうということから、企画が始まったそうです。このイベントは実際にスポーツをするのはお子さんたちですが、親御さんたちの気持ちを和らげることがもうひとつの目的であるというのが、お話から伝わってきました。


ベガルタチアリーダーズのチアダンスで元気よくおどろう!

イベントのスタートは、ベガルタチアリーダーズのKotonoさん、Aoiさん、Airiさんの3名によるチアダンス。腕を大きく伸ばしての準備体操などでウォームアップを行ったあと、金色のポンポンを手にしてみんなでチアダンスに挑戦しました。AoiさんとAiriさんがゆっくり丁寧に説明したあと、音楽に合わせてチアダンス開始!

憧れのベガルタチアリーダーズのお姉さんたちを前に、最初は少し照れ気味だった子どもたちも、慣れてくると笑顔で右へ左へ動きながら元気よく、キラキラ輝くポンポンを上手に使いながらチアダンス! 音楽で身体を動かすことの楽しさを全員で満喫していました。



尚絅学院大学の学生たちによるスポーツ企画は、大人も息をきらすほどよりハード!

尚絅学院大学で教職員を目指すために学んでいる学生たちによる企画は、チームごとのちょっとハードなボール運びリレーで、段ボールで作った大皿や長い棒にサッカーボールを載せてリレーをしていくというもの。段ボール大皿にサッカーボールを受け渡すのは見た目以上に不安定。大人でもかなりの運動量です。あちこちでボールをこぼしながらも、「何ごとも、チャレンジ!」とみんなで声をかけあって、それぞれがゴールに向かっていました。

子どもたちも「段ボールに載せるの大変だったけどがんばりました」「楽しかった!」と大満足の様子。ここまで来た段階で、子どもたちもカメラで追いかける大人たちも、だいぶ息があがって汗だくに。次はもっとハードなボール運動の登場です!






最後はベガルタアカデミーコーチ陣によるボール運動。ミニゲーム形式で盛り上がりもMAX!

最後は、ベガルタ仙台のアカデミーコーチによるボール運動です。今回教えてくれるのは、ベガルタアカデミー普及部の“ナベコーチ”こと渡辺コーチと、癸生川(けぶかわ)コーチです。

お二人とも障害者スポーツ協会の指導員の資格をお持ちで、メンタル面も含めた幼児教育にも力を入れています。なかでもナベコーチは、アカデミーでの12歳以下のサッカー指導を行う以外にも、障がい者を育成するための指導者育成への積極的活動を行っていて、この日も午前中は利府高校に出向いてリーダー養成指導を行ってきたのだそう。アカデミーでの指導においては極度に安全にしすぎず自分で判断させることを大切にしており、アカデミー以外での障がい者への指導に対しても「できないだろうと決めつけず、できないことをサポートして、チャレンジしてもらう」ということを重点においているという、心強い言葉がとても印象的でした。

さて、いよいよ始まったボール運動は、これまでの運動強度をはるかに超えて、ほぼ試合形式の実践型。途中で邪魔に入ろうとする大人をかわしながら、体育館の端から端までをドリブル突破するという運動で慣らしたあと、チームに分かれてミニゲームの開始。年齢や体格に関係なく縦横無尽に動くボールに翻弄されながらも、お互いのゴールに向かってみんなで懸命にボールを追いかけていました。

尚絅学院大学の学生たちがそれぞれ個性の異なる子どもたちと積極的に交流を図っていて、その姿をみた癸生川コーチは、自分も大学生たちのように常にブラッシュアップしながら向上していきたいと今後の自身の課題を話してくれました。

これほど熱心な二人のコーチから指導を受けた大学生たちはきっと、未来の優秀な指導者として各地に羽ばたいていくはずです!



みなさんの元気な姿を見て、逆に元気をもらった一日でした!

最後に参加者全員で記念撮影をして、今日のイベントは無事に終了!それにしてもこれだけハードな動きをしながら、誰ひとり転ばなかったというのは、みなさんの体力も相当なもの。ところが「Golazo!」代表の相澤さんによると、この日参加した障がい者と健常者の割合は7対3で障がい者の方が多かったのだとか。実際に見ていて誰が誰であるかなどはわからない、というより、考える必要もないほど、子どもたちはみんなで元気よく楽しんでいました。

多くの親御さんは一度は「うちの子はどうせできないから」と参加をためらう方が多いものの、一度参加してみると子どもたちも親御さん自身も楽しんで帰っていくことが多いのだそうです。

実際に今回参加した親御さんに聞いてみると、中学3年生の息子さんと参加したお母さんは、「子どもが運動をするのが大好きなのでいい機会だと思い参加しました。思った以上にハードでしたが、子ども自身の活発で元気な姿をみられてよかったです」と次回の参加も楽しみにしていました。また、小学3年生の娘さんと参加したお母さんも「普段は運動できるチャンスがなく、今回のイベントはいろいろな対策をしっかりとってくれるので安心して参加できました」と喜んで話してくれました。

相澤さん自身は今後の課題として、あきらめがちになる親御さんへ声をかけ続けること、イベント自体を継続していくことだと挙げていました。ナベコーチも話していたように、できないと決めつけず、できないことはサポートにまかせてまずはチャレンジしてみる、というのが大きな第一歩かもしれません。



参加者みんな大満足のインクルーシブスポーツキャラバン、ぜひ一度チャレンジしてみて!

チアダンスだけでなく、イベントの間じゅう、たくさんの子どもたちと触れ合っていたベガルタチアリーダーズのKotonoさん、Aoiさん、Airiさん。女の子たちから3人のもとへ駆け寄ってきて、一緒に手をつなぎながらお話をしたり、一緒に撮影したりして、みんな満足そうに3人との交流を楽しんでいました。

KotonoさんとAoiさんは昨年からすでに何度かこのスポーツキャラバンには参加していて、毎回楽しいだけではなく、必ず何かの学びや課題を発見して帰るのだそう。何度か参加するうちに顔を覚えてくれた子どもたちもいて、この日も子どもたちから駆け寄ってきてくれたり、「楽しかったよ」と言われたりしたことが本当にうれしかったと話してくれました。また、今回が初参加のAiriさんは、初めてとは思えないほど積極的に子どもたちと対話をしていて、自ら楽しもう、溶け込もうとしている様子がみてとれました。「言葉だけではないコミュニケーションの仕方があるんだなあと実感しました」と次回への参加も楽しみにしているようでした。

今回は普段よりも参加者が少なかったとのことですが、それでも参加者みなさんが大満足の盛り上がったイベントでした。最後に指導側のスタッフが集まってのあいさつでは、みなさんが口々に「継続していきたい」ということを話していて、今後このスポーツキャラバンが県内各地の恒例イベントになり、相互理解がどんどん進んで日常的となる日がきてほしいと実感しました。

実際に運動に参加しなくても、まずは周囲の椅子に座って眺めてみるだけでも、「どうせできない」からの大きな一歩だと感じます。次回のインクルーシブスポーツキャラバンは9月下旬に登米市で開催予定しているとのこと。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

(by 内田明子)