ラストワンプレーでまさかの幕切れ~ベガルタ仙台ユース「第43回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会」レポート

 今年も夏の全国大会日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の季節がやってきた。15年連続22回目の出場となるベガルタ仙台ユースは、2015年に全国ベスト4進出を果たす快挙を達成したが、それ以降3年連続グループステージ敗退が続いていた。「自分たちが歴史を変えたい」。FW清水一雅(3年)が語る通り、今年こそノックアウトステージ進出、そして先輩たちが達成したベスト4越えを目指して、全国大会の舞台に立った。
 初戦のガイナーレ鳥取U-18戦は攻撃陣が力を発揮。特に群馬県の上州FC高崎出身の清水は「みんな忙しい中わざわざ見に来てくれて、感謝の気持ちを見せられたら、と思い、点を取れるように頑張りました」と奮闘し、なんとハットトリックを達成。3-1で勝利し、幸先の良いスタートを切った。
 2戦目の大分トリニータU-18戦は、一転して苦しい戦いを強いられ、前半立て続けに2失点する展開に。しかし「やるしかないだろう、とハーフタイムで全体の気持ちがまとまった」と壱岐友輔監督が語った通り後半はベガルタ仙台ユースがペースを握り、相手の最終ラインの連係ミスによるオウンゴールで1点差に詰め寄ると、MF佐々木勇輔(3年)のクロスがペナルティエリア内で相手の手に当たってPKに。清水がPKを決めて、2-2の引き分けとなった。この段階で3戦目の東京ヴェルディユース戦引き分け以上ならノックアウトステージ進出という有利な状況となった。

(FW清水一雅)

 迎えた3戦目の東京ヴェルディユース戦。個人技が持ち味で丁寧にショートパスをつないでくる相手に対し、仙台の守備陣は組織的に対応し、前半を0-0で折り返した。そして後半に入り、50分FW吉田騎(2年)が相手のDFライン背後に抜け出しゴールへ疾走。そのままシュートを決めて、欲しかった先制点を獲得した。その後セットプレーで同点とされるが、このまま1-1であればノックアウトステージ進出が決まる。相手の反撃を丁寧にはね返し続けていたが、信じられないドラマがラストワンプレーに待っていた。勝たなければノックアウトステージ進出できない東京ヴェルディユースがアディショナルタイム猛攻を仕掛け、70+4分相手のエースMF松橋優安(3年)にシュートを決められてしまった。そして直後に1-2で試合終了。ほぼ手中にしていたノックアウトステージへの切符は、最後の最後で手から離れてしまった。
 試合後は泣きじゃくる選手もいれば、起こったことが信じられず放心状態の選手もいた。キャプテンのMF千葉武(3年)も「まだ冷静には話せない」と前置きした上で「何かが足りなかったというのが率直な感想です。手を抜いた選手は誰もいないと思いますし、やり切った選手も多かったと思います。次につながる試合だったと思います」と努めて前を向いた。壱岐監督は「ただ、ただ悔しい」と悔しさをにじませ、それでも「残念ながら、最後に守り切れなかったのは、次に向けてのリバウンドメンタリティに変わってくるはずですし、悔しい思いをした彼らの今後の成長に期待したいと思います」と大きな悔しさを味わった選手たちがこれをバネに大きく飛躍することを期待した。そして「たくさんの応援、サポートがあってここまでやり切ることができました。本当にありがとうございました。」とここまでの選手ご家族やクラブの支えへの感謝も忘れなかった。
 ノックアウトステージには進めなかったが、ラストワンプレーで守り切れず大きな悔しさを味わったというのも、本当に貴重な経験で、なかなか味わうことはできないものだ。この経験を力に変えて、この後のプリンスリーグ東北、Jユースカップ、プレミアリーグプレーオフで大きな成果を挙げてくれることを期待したい。