【ジュニアユース】すでにユースで活躍する選手も!個性豊かなジュニアユースの選手たちがリーグ戦で成長目指す

ジュニアユースもリーグ戦での切磋琢磨で成長

 ベガルタ仙台ジュニアユースは4月より「高円宮杯JFA全日本U-15サッカー選手権大会東北みちのくリーグトップリーグ」を戦っている。中学生年代も昇降格のあるリーグ戦を戦っており、このリーグ戦は東北のトップクラスの強豪10チームがしのぎを削るリーグ戦である。このリーグ戦の下のカテゴリーとしては「チャレンジ北リーグ」「チャレンジ南リーグ」という北東北と南東北のリーグがあり、トップリーグで下位2チームになると来シーズンこのリーグに降格することになる。さらに下のカテゴリーとしては、ジュニアユースのBチームが参入している「宮城県トラック協会杯宮城県U-15リーグ1部(MJ1リーグ)」があるという構造になっている。
 今シーズンの東北みちのくリーグトップリーグも強豪揃いだ。昨シーズン優勝の青森山田中に加え、近年力をつけている宮城県の街クラブFCフォーリクラッセ仙台や、昨シーズン高円宮杯東北大会決勝で戦ったJFAアカデミー福島など強豪チームがひしめき合う。この厳しいリーグ戦で優勝すると、無条件で年末に行われる全国大会「高円宮杯JFA全日本U-15サッカー選手権大会」に出場することができる。2位以下の場合は東北大会を勝ち抜いて全国大会出場を目指すことになる。
 こうした厳しいリーグ戦の中で、東北のライバルと切磋琢磨することで選手たちは少しでも成長しようと努力を重ねている。

(嶺岸佳介監督)

ユースへの飛び級選手登場でプラスの効果も

 そんな中ベガルタ仙台ジュニアユースは前半戦を折り返し、10試合を終えて5勝1分け4敗の勝点16で4位につけている。今後少しでも上の順位を目指し、後半戦を戦っていく。
 今シーズンのジュニアユースだが、昨シーズン2年生の時もこのリーグ戦によく出場していた背番号10を背負うMF小澤春太(3年)と、今シーズンもストライカーとして得点が期待されるFW福原義智(3年)があまり出場していない。
 実はこの2人はユースの公式戦の方に出場している。特に小澤はユースの主力選手が出場する「高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2025東北」の多くの試合で先発出場しており、すでに高校年代の厳しいプレッシャーの中での試合を何試合も経験している。
 こうしてユースへの飛び級の選手が出ていることについてジュニアユースの嶺岸佳介監督は「実際、今トップまで選手をどんどん下から押し上げていくという意味では、すごく良いトライができていて、良い流れができているかなと思うので、それを加速させられるようにしていきたいなと思います」と、ジュニアユースから上の年代に選手を供給できている現状に大きな手応えを感じているという。
 また、嶺岸監督は「それで下の選手がチャンスを得られていると思うので、良い成長ができるように、競争をしていければ良いかなと思います」と語る。ユースに選手を送り込んだことで、2年生の選手をみちのくリーグトップリーグの方に出しやすくなっている。取材をした第5節JFAアカデミー福島戦でも、先日「2025ナショナルトレセンU-14前期」メンバーに選出されたFW中瀬礼士(2年)をはじめ、多くの2年生選手が出場していた。
 ジュニアユースからユースへ3年生の選手を送り込んだことにより、2年生を強度の高い3年生の試合に多く出すことができ、良い循環が生まれている。

(ユースのプリンスリーグ東北に出場しているMF小澤春太)

夏・冬の全国大会出場を目指して

 今シーズンのチームについて嶺岸監督は「例年に比べて素直な選手がすごく多いです。もちろん今、まだまだ足りないことが多い代なんですけど、そこに対してこっちが言ったことに対して素直に取り組んでいて、良くなろうという素直な心を持った選手が多いので、伸びしろがたくさんあるかなと思っています」と吸収力の高さに手応えを感じていた。
 また、「DF石河蒼絆(3年)とか、福原義智とか、サイズやスピードに特徴のある選手が多くて、比較的フィジカル的なところでは優れている選手が多いので、パワーとかエネルギーがあるようなチームかなとは思いますね」と優れた身体能力を持った選手も多いという。
 キャプテンのMF木村空(3年)は「全員で攻撃して守るということを意識していて、全員攻撃、全員守備が特長のチームです」と語る。現状の課題としては「普通に個人のミスとかがつながってしまって、1人がやられてカバーも遅れてみたいなのが多いので、そういう個人ミスがちょっと課題だなと思っています」とミスが重なっての失点があることを改善していきたいという。
 嶺岸監督は「やっぱりこのチームは、良い守備から良い攻撃というところは、ずっとちょっとずつ積み上げて来ています。良い形で守備ができるところをさらに加速させながらも、やっぱり攻撃の質というところで、1人1人が、ボールをしっかり持てるかどうか、運べるか、選んだ技術であるパスやキックのところを成功させられるかとか、細かいところを改善しない限りは、勝点を3にすることは難しいと思います。最後勝てるかどうかというのは、フィニッシュの質だと思います。その辺はクラブユース東北大会までにまだ何試合かあるので、そこで積み上げていければ良いと思います」と6月から始まる日本クラブユースサッカー選手権(U-15)東北大会や、今後のリーグ戦、ひいては年末の高円宮杯に向けて、攻守の質を高めようと先を見据えている。
 キャプテンの木村も「個人もチームも強度高く、強い相手でも粘り強く勝てるようにやっていきたい」と今後への意気込みを語った。全国大会に出場したらどんなプレーを見せたいかを問うと「見てるい人を感動させられるようなプレーをしていきたい」と答えた。
 ユースの公式戦に出場している選手も、ジュニアユースのリーグ戦に出場している選手も、自らの成長のために日々全力を尽くしている。今後の試合でその成果を出して、夏のクラブユース選手権、冬の高円宮杯への出場権を勝ち取り、全国大会で活躍する姿をぜひ見せてほしい。

(キャプテンMF木村空)

(by 小林健志)